- 著者：北山猛邦
- 絵：小松崎類
- 発行年：2017年
- 発行元：星海社FICTIONS
ダンガンロンパ霧切は「ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生」のスピンオフ小説である。ゲームでは探偵兼ヒロインとして活躍した霧切響子の中学生時代を深堀りする内容になっている。
ゲーム本編以上に複雑で猟奇的な事件、魅力的な黒の挑戦、ロマンあふれる探偵図書館。
ダンガンロンパが好きなら絶対に楽しめる内容になっています！
ここではその第5巻である「ダンガンロンパ霧切5」に関するあらすじ解説、キャラクター紹介、レビューを行う。
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あらすじ
探偵であり続けることは、けっして楽ではない。
むしろ苦悩ばかりで、失うものばかりだ――難攻不落の「密室十二宮」、ついに陥落！ 探偵たちの屍と裏切りを乗り越えた先に待つ、衝撃の真実ーー最強の探偵が仕掛ける最終試験〈ラストゲーム〉を霧切響子と五月雨結は突破できるのか!?
原作ゲーム『ダンガンロンパ』のシナリオライター・小高和剛からの直々の指名を受け、「物理の北山」こと本格ミステリーの旗手・北山猛邦が描く超高校級の霧切響子の過去―。これぞ“本格×ダンガンロンパ”。
前巻に引き続き、残りの密室を解いていく五月雨と探偵たち。
八鬼弾は「BAR グッドバイ」へと向かった。その途中で電話がかかってきて、BARで拘束されている被害者と繋がった。スツールに拘束され、身動きが取れない状況で連絡を取っているらしい。
通話をつなぎつつ現場に突入すると、たった今背中を刺され生死の境をさまよっている男が椅子に拘束されていた。通話がつながっている中、どうやって被害者に気づかれずに犯罪を実行したのだろうか……。
水井山幸は「中世西欧拷問器具博物館」へと移動した。事件現場は博物館の離れのプレハブ小屋で、火事によって消防車が駆け付けた。火が収まると、その中から被害者の焼死体が見つかった。建物の周囲の雪には足跡が残されておらず、被害者の傍にはタバコとライターが落ちていた。
ところで、現場に突如出現した首なしのアイアンメイデンは何のために用意されたのだろうか……？
そして最後に明らかになる「リブラ女子学院」での意外な真相と、魅力的な新キャラでトリプルゼロクラスの名探偵「ジョニィ・アープ」の登場。最後まで目が離せない第5巻となっている。
十神を主人公にしたスピンオフ小説、ダンガンロンパ十神の紹介はこちら⇩
キャラクター紹介
ここから先はネタバレを含みます。
霧切響子
中学一年生としての登場で、探偵として実績を積みDSCナンバーを上げることで「探偵として認められる」ことを目標に事件解決に取り組んでいる。
本作では双生児能力開発研究所に一人で乗り込み、変わらず高い捜査能力を見せていた。犯人である堤に拉致され、龍造寺の事務所で囚われのお姫様として五月雨との取引に使われた。
DSCナンバーは「917」、専門は不可能犯罪の殺人。
五月雨結
中高一貫の女子高に通う高校1年生の女子高生探偵。赤い眼鏡をかけてアクティブな雰囲気を持つ。妹を誘拐事件で失った過去を持ち、救いを求める人を救うために探偵となった。
本作では単身リブラ女子学院に乗り込み、初の霧切なしでの推理に挑戦する。自身の推理で建物に隠された謎を解き明かす成長を見せる。
DSCナンバーは「887」、専門は誘拐事件。
サルバドール・宿木・梟
武田幽霊屋敷の事件に巻き込まれた探偵で、委員会の息がかかっていないだろうと判断し、龍造寺の黒の挑戦への協力を依頼した。2巻ノーマンズ・ホテルで登場し、見せしめとして殺されてしまった魚住絶姫と相棒関係にあったため、個人的に黒の挑戦に関して調べていたこともあり、すぐに協力に応じた。
バレエを習っていることもあり、すらっとした体型で紳士といった風貌。話し方もかっこいい。
DSCナンバーは「752」で、贋作詐欺事件を専門にしている。
八鬼弾
武田幽霊屋敷の事件に巻き込まれた探偵で、五月雨への黒の挑戦に協力する。リーゼントヘアの昔ながらのヤンキーといった風貌。
BAR グッドバイの捜査を担当していたが、肝心の推理パートはリコルヌに奪われ、最終的に殺されてしまうという可哀想な人。
水井山幸
武田幽霊屋敷の事件に巻き込まれた探偵で、五月雨への黒の挑戦に協力する。和装に紫髪眼鏡と濃いファンが多そう。
中世西欧拷問博物館で事件の捜査をしていたが、実際には……。
ダンガンロンパ霧切4 レビュー
ついに解決した探偵十二宮と驚愕の展開
3巻を使ってついに完結した探偵十二宮。12個の密室殺人が見事に解決された。
古典的なものから館ものと呼ばれる建物の仕掛けを利用したものだったり、どのどれもがいわゆる物理トリックを利用したものであり、さすがは「物理の北山」といったところ。
また、事件のトリック以外にも、黒の挑戦のシステム自体を逆手に取った展開も多くあり、様々なレイヤーから読者に衝撃をもたらしている。
以下完全なネタバレ
水井山が犯人であるという仕掛けは見事。複数の視点を並行して見せる点など、「十角館の殺人」のオマージュを感じさせるような物語に仕上がっている。
探偵ってのは頭だけじゃねえ！
護身術の上手い霧切といい銃撃戦で敵を制圧するリコルヌといい、名探偵の素質として戦闘能力も重要なファクターなのだろう。本作では探偵同士のアクションや容疑者制圧の場面が多くあり、アクションものとしての側面もある。
霧切の可愛さが限界突破ver5
一巻からその兆候は見えていたが、本作でも引き続き可愛さが限界突破してしまった。霧切の血を受け継ぎ、父親と祖父の板挟みによって大人らしく振舞う中に垣間見える、年相応の可愛らしさのギャップにやられた人で山が出来ている。そろそろK2は越しそうな勢いで死体の山が築かれていっています。
以下は作中の描写から引用。
霧切は少し俯いて、迷うように身体を前後に揺すってからーー結局わたしに抱きついてきた。
人質から解放された際に、霧切が五月雨のもとにやってきた一幕。
「迷うように身体を前後に揺すってから」という一言のおかげで色々と妄想が膨らむ。ありがとう北山先生。
「それじゃあ、十二の密室全部クリアだね！」
わたしは飛び跳ねて云う。
気づいたら霧切も一緒に飛び跳ねていた。
前のシーンに続けて、探偵十二宮クリアの一幕。
足折りたたんできららジャンプしてそう。これぞまさしく年相応の権化。
2巻のレビューから霧切可愛いポイントをまとめているので、ぜひそちらも参考にしてほしい。
最後に
普段はダンガンロンパシリーズの解説や、Steamのインディーゲーム紹介を行っています。最後まで読んでいただきありがとうございました！
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