性癖の玉手箱にはホラーミステリーが入っていた「シロナガス島への帰還」 クリアレビュー

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  • ジャンル:ミステリーサスペンスADV
  • 発売年:2020
  • 開発者:鬼虫兵庫
  • 値段:500円
  • プレイ可能ハード:SteamSwitch
  • 参考クリア時間:6時間

絶海の孤島「シロナガス島」に老若男女が集められ、次々に奇怪な殺人事件が起こる。というあらすじだけでミステリーマニアは涎を垂らしていることだろう。本作はそんなミステリー好きも楽しめる驚きに富んだストーリーが展開される。値段も安く、ゲームならではの展開も多いため、多くの人におすすめできる。

だが、作者の性癖を最大限に押し出しているのとクリア難易度が高い。そのため、ゲーム慣れしてからの方がプレイのハードルは低くなっている。ミステリー好きだけどゲーム初心者なら、レインコードがいいのではないだろうか。

ポコたく
ポコたく

僕の性癖にドンピシャにはまったので、可愛いね~と思いながらプレイできた。

ねね子可愛いよねね子

なるべく物語終盤の流れには触れずに記事を書いてはいるが、ネタバレは含んでしまうため閲覧の際は気を付けてください。

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作者の性癖が前面に押し出されたキャラクター

ここでは僕の癖にも刺さった数キャラを紹介していく。

ヒロイン 出雲崎ねね子

主人公池田戦の周りには作者の性癖が前面に押し出されたキャラクターが集まる。なんといっても池田戦の助手として島へ帯同する「出雲崎ねね子」がヒロインとは思えないほどのキャラクター性を持っている。

船酔いで吐きそうなねね子。まるで昆布のよう。
美少女カワイイヤッター!

長い髪は洗われていないため犬のようなにおいがして、引きこもっているため肋骨も浮き出ているという不健康そのものを擬人化したようなキャラクターである。一方で完全記憶能力を持っていて、頼りになるところもあるギャップを兼ね備えている。

初見時にそのキャラクター性にびっくりしても、徐々に愛着の湧いてくる不思議な子。これもギャップ萌えの一種なのかもしれない。

ツンデレお嬢様 アキラ・エッジワース

次に紹介するのはつんけんしたお嬢様のアキラ。シロナガス島の隠された実情を知っているようで、あまり深入りしないように忠告する。

他人に心を開いていないが、ある一件で命を救われたことで池田・ねね子と親しくなる。まさにツンデレのお手本のようなキャラクター。つんつんした態度から一変、ねね子を風呂に入れたり、池田にいろいろな情報を提供する様はとても可愛く、人気も高い。

サービスシーンその1

正統派美少女 アウロラ・ラヴィーリャ

最後にアウロラについて紹介しておく。頭の後ろに付けた青いリボンが特徴的な正統派美少女。前に見た二人と異なり、感情表現が豊かで歪んでいない、オアシスのような子である。

正統派美少女から一癖二癖ある変人まで多様に取り揃えているが、どのキャラにも愛着がわくようなシナリオなので最後まで楽しくプレイできる。

古き良きポイント&クリック型のゲームシステム

高難易度なポイント&クリック

ゲームの基本はシナリオを読み進めていくノベルゲー。事件現場で捜査を行う際など、様々な場面でポイント&クリックで調査を進める。

一枚絵が表示されて、気になる点をクリックすることでその場所を調べるが、このゲームの特徴としてヒントが少ないことが挙げられる。ダンガンロンパで調べる対象がマーキングされているようなシステムはなく、対象にカーソルを合わせることでカーソルが変化し、調べられるかが分かる。何度も調べたり、すべてのアイテムを調べないとストーリーが進行しないため、多少煩わしさは感じる。

しかし、そのヒントの少なさを言い換えると、自分で推理する必要があるということである。何も考えずにストーリーが進行していくよりも、論理的に思考し、推理を積み重ねて捜査していく方がゲームとしての面白さは大きいだろう。

攻略サイトはあるが、総じてクリア難易度は少し高めであるという印象を受ける。

時間制限ギミック

蛇に噛まれて死にそうなアキラ

また、高難易度に拍車をかけるように時間制限付きのギミックもある。アキラが蛇に噛まれたため、血清を用意しようとする一幕では、時間制限の中で聞き込みを繰り返して血清の在り処を特定しなければならない。

フルボイスなので、すべての会話を聞いていると初見でのクリアは難しい時間設定になっている。

難易度は高いが、考えがいのあるゲームシステム

ホラー要素の多いサスペンスミステリー

ここから先は多少ネタバレを含んでいます。安くて良質なミステリーADVを探しているなら今の段階で買い、プレイしましょう。

Return to Shironagasu Island on Steam
A mystery adventure game and visual novel set on solitary Shironagasu Island. Discover its secrets, solve its mysteries,...

ニューヨークでよく知られた探偵、池田戦が絶海の孤島「シロナガス島」で起こる奇怪な連続殺人事件の謎を解く。という一見するとミステリーではよくある舞台設定だが、ゲームとしての性質、ホラー・サスペンスという他ジャンルが交わることで唯一無二の物語が展開される。

シロナガス島の悪魔によるホラー演出

物語中盤、シロナガス島の悪魔という化け物の存在が明らかになる。

シロナガス島の悪魔 ビジュアルが怖すぎる

ゲームはプレイヤーが主体的に物語を進める必要がある。これは、勝手に映像が進んで行く映画との最大の違いである。そのため、ゲームは人をびっくりさせるのに最適な表現方法だと言える。

本作ではジャンプスケア系のホラーが多くあり、ホラー苦手勢は二度とやりたくない!と叫びたくなるような演出がある。僕もホラー苦手なので二週目はちょっと……。

エレベータで移動中の出来事

本編クリア後にEXTRAという南国ハーレムのストーリーが用意されている。そっちも油断しているとおしっこ漏らすかもしれない。

「館もの」としてのミステリー

一方で、化け物の超パワー!でミステリーが破綻することもなく、ロジックに基づいた謎解きが提示されるため、ミステリー目当てで買った場合でも十分に楽しめる。

特にシロナガス島に立てられた館の中で事件が起こるので、「館もの」好きにこそ届いてほしいミステリーである。某館シリーズのように奇人建築家が館を建てていて、謎解きに突飛なアイデアが必要というわけではないが、館ものとして必要な間取り図を使った謎解きがあり、キモを抑えている。

まとめ

奇人変人の集まるシロナガス島で、ホラーを含んだ本格ミステリーが楽しめる破格の作品。これが500円で遊べるのは何かのバグを疑うレベル。難易度は高いので人を選ぶ部分はあるが、漫画1冊分の値段で濃密な物語を楽しめる。

実況で見てもストーリーの面白さは理解できるが、ホラーでの驚きはプレイヤーならではのものなので、ぜひ自分の手でプレイすることをおすすめする。

Return to Shironagasu Island on Steam
A mystery adventure game and visual novel set on solitary Shironagasu Island. Discover its secrets, solve its mysteries,...
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