- ジャンル:ADV、脱出ゲーム
- CERO:C
- 発売年:2012
- 発売元:スパイク・チュンソフト
- 値段:3000円(続編との抱き合わせ版)
- プレイ可能ハード:PS4・Steam・XBoxetc.
- クリア時間:20時間
「自分の選択を後悔したこと」はあるだろうか?あの時これを言っておけば、あの時これをやっていれば……。人生は選択の連続であり、常にその後悔が自身に絡みつく。「善人シボウデス」は選択を繰り返し、時には後悔しながらもより良い結末を目指してあがく男の物語である。
大胆な展開と、それを可能にする精緻に描かれたマルチエンディングのシナリオが特徴。
HUNDRED LINE-最終防衛学園-のシナリオライター、打越氏の手がけた作品
ハンドラ前に予習しておきたいゲームその2
前作の「9時間9人9の扉」に関してもレビューを書いているので、参考にしてください
ゲーム紹介
「極限脱出ADV」とは、選んだ選択肢によって展開や結末が変わっていく「ノベルパート」と、思考型パズルゲームを解くことによって閉じ込められた室内からの脱出を目指す「脱出パート」…… これら2つのパートによって構成されたサスペンス感あふれるアドベンチャーゲームです。
https://www.nintendo.co.jp/titles/50010000008862
はたしてあなたは、張り巡らされた数々の謎を解き明かし、驚愕の真実へと辿り着くことができるだろうか!?
主人公を含む老若男女9人は目が覚めると謎の施設にいた。腕にはバングルが巻かれていて、お約束通り外すことはできない。脱出のためにはBP(バングルポイント)を9以上集め、9の扉から外に出る必要がある。ただし、9の扉が開くのは1度だけで数秒間なので、全員で協力しないと全員脱出は不可能。
もちろん本作でも命が賭けられていて、ルール違反などのペナルティの場合は致死性の毒薬がバングルから注射される。
CD(カラードドア)の先で謎を解いて、運命を決めるアンビデックスゲーム(ABゲーム)を行いBPを増やし脱出を目指すゲームである。そんな中でシナリオは大きなうねりを伴って予測不能な結末へと進んで行く。
ABゲームのルール
二人とも「協力」:共に2BP増加
二人とも「裏切り」:共に変化なし
一人「協力」、一人「裏切り」:協力者は2BP減少、裏切り者は3BP増加
緻密に作り上げられたシナリオ
ミステリー小説を読んでいて叙述トリックに騙されたという経験がある人は多いと思う。有名どころでは「十角館の殺人」や「イニシエーションラブ」など数々の名作小説に叙述トリックが用いられている。
一方で、映画やゲームとなると叙述トリックを用いた作品は少ない。小説とは異なり人物描写が画像として存在しているため、叙述トリックを使える幅が狭いことに起因しているのだろう。(詳しくは下の記事から)
そんな中で、本作では見事な叙述トリックが違和感なく組み上げられている。「ゲームだから……」と普通だったら流してしまうような違和感を一つ一つ緻密に伏線とすることで、全体としてプレイヤーを騙す構成が完成しているのだ。
例えば、本作は単に「エンディングが複数ある」マルチエンディングゲームというわけではない。最初から最後まで高い没入感を与えながら、マルチエンディングだからこその物語が描かれている。
完成度の高い、頭を使う謎解き
前作と同様、閉じ込められ部屋からの脱出を目指す「脱出ゲームパート」が用意されている。前作からの進化点として、全編が3Dで作られているため、より没入感が高くなっている。
見つけたアイテム同士を組み合わせることもでき、想像以上に難しい謎解きが要求される。難易度は基本的にHARDだが、キャラクターがヒントをくれるようになるEASYも用意されていて、部屋ごとに難易度の切り替えが可能。
攻略サイトを見ないでいいため、下手にネタバレを踏んでしまうこともない安心設計。
多くの分岐を作るABゲーム
囚人のジレンマという言葉を聞いたことがあるだろうか。お互い協力する方が協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況では互いに協力しなくなる、というジレンマである。
先述のルール通り、ABゲームは囚人のジレンマを元に作られたミニゲームで、毎回相手と協力するか裏切るかを選択することになる。周囲の点数状況や相手との関係性、今後の展開などを考えて選択をするのが面白い。
ただし、ABゲームを本気で楽しめるのは1週目のみである。真エンドに到達するためにはすべてのルートをクリアする必要があるため、最初に自分の思う通りの選択をしてエンディングに到達したら、その後は機械的にすべての選択肢を網羅する必要がある。
もし自分の選択を忘れても、フローチャートがあるためどんなルートを進んできたかを確認することが出来る。また、好きなタイミングから始められるためリプレイ性も高い。
まとめ
叙述トリックを含んだマルチエンディングの名作ミステリーADVである。シュタインズゲートやひぐらしなどの作品が好きならはまること間違いなし。
ゲーム中に9時間9人9の扉のネタバレを含むので、シリーズ初見の場合は999から先にプレイしたほうが良い。特に前作の黒幕である「ゼロ」の正体やゲームの目的をベースに作られた作品なので、こちらを先にプレイするとわからない部分も出てくると思う。
ぜひ、「9時間9人9の扉」を先にプレイしてもらいたい。
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